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峠三吉 1945年の日記 広島市へ2冊寄託

 広島市は28日、被爆直後の惨状を記した詩人峠三吉(1917~53年)の日記が、所蔵する共産党中央委員会(東京)から市に寄託されることになったと発表した。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の記憶遺産登録を目指している峠の「原爆詩集」最終草稿を補完する資料として生かす。

 寄託されるのは、45年1月から11月に書かれた「峠三吉の被爆日記」(1945年日記帳)と、同年8月から9月に書かれた「峠三吉随意日記」の2冊。2002年に遺族から同党に寄贈された。被爆日記には「焼夷弾だと叫び上衣をひっかけたとたん猛然と家震動し窓硝子微塵に飛び天井裂け落ち片々身に降りかかる」などと、被災の瞬間もつづる。

 市とともに記憶遺産登録を目指す広島文学資料保全の会が今年4月、遺族と党本部を訪れ、寄託を打診していた。同会の土屋時子代表は「登録申請する文学資料と一緒に保管できるのはプラス要素。市民の目に触れる機会も増えれば」と期待する。市職員らが8月3日に東京で実物を受け取り、原爆資料館(中区)に収める。(石井雄一)

(2016年7月29日朝刊掲載)

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