×

ニュース

米軍低空飛行 最多2048件

 広島県内で2011年度に目撃された米軍機とみられる低空飛行は延べ2048件で、調査を始めた1997年度以降で最多となった。県が18日、住民から寄せられた目撃情報を集計した。10年度に比べて38%増で、住民から「1日当たりの飛行回数や機数が増え、うるさくなった」との不満が出ている。県は近く騒音測定器の設置などを国に要請する。

 目撃件数は、これまでで最も多かった10年度の1479件から569件増加した。9市町で目撃され、最多は廿日市市の874件。北広島町807件▽安芸太田町143件▽江田島市131件―と続いた。大半が県西部沿岸と県北部だった。

 日米合意で「必要不可欠なものに限る」とされている土日祝日の目撃件数は117件で10年度の1・3倍、午後7時~翌日午前7時の夜間・早朝時間帯は257件で1・9倍に上った。

 「岩国基地の拡張・強化に反対する広島県西部住民の会」の坂本千尋事務局長(59)は「2~4機編隊の飛行が増え、騒音もひどくなった」と指摘。「北朝鮮や中国などのアジア戦略をより重視する米軍の姿勢が背景にあるのでは。低空飛行が絶え間なく続く日もあるため目撃が増えたとみられる」と推測する。

 一方、目撃日数は232日で前年度より4日減った。目撃日数がほぼ横ばいの中で目撃件数が増えた理由について県国際課は「(米海兵隊岩国基地で運用される可能性がある)垂直離着陸輸送機MV22オスプレイなどの報道が多く、住民の関心が高かったことも要因では」と分析する。

 県は近く、測定器の設置などによる騒音の実態調査や、低空飛行訓練中止の米軍への働き掛けを政府に要請する。(野崎建一郎)

(2012年5月19日朝刊掲載)

年別アーカイブ