×

ニュース

遺伝的影響の研究を スイスの医師 放射線被害を紹介 

 チェルノブイリ原発事故の被害者の子どもたちを支援しているバーゼル大(スイス)名誉教授のミシェル・フェルネクス医師(83)が16日、広島市立大広島平和研究所(中区)で内部被曝(ひばく)をテーマに講演した。放射線による遺伝的影響について、さらに研究し、公開する重要性を訴えた。

 チェルノブイリ原発事故で深刻な被害が出たベラルーシで、原発から100キロ、320キロ離れた場所で捕獲されたネズミが、これまでに22代まで子孫の遺伝的な異常が確認されたとの研究について紹介。細胞内の核以外の部分が放射線の影響を受けたためと指摘し、「核の中にある染色体異常だけではない。福島の原発事故が起きた日本でも研究を進めてほしい」と述べた。

 講演に先立ち、ドキュメンタリー映画「真実はどこに?~世界保健機関(WHO)と国際原子力機関(IAEA) 放射能汚染を巡って」(2004年)を上映。フェルネクス医師も登場し、核の平和利用を推進するIAEAの同意なしではWHOは核関連の調査などが十分できないとして、チェルノブイリ原発事故の被害が過小評価されている現状を批判した。(二井理江)

(2012年5月21日朝刊掲載)

年別アーカイブ