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呉からの原爆絵 警固屋小に寄贈 「戦争伝える教材に」

 太平洋戦争中に広島県呉市の警固屋国民学校(現警固屋小)から見た原爆のきのこ雲の絵を、愛知県小牧市の仲根鉄郎さん(85)が29日、同小に寄贈した。仲根さんは警固屋地区で前日、記念碑の除幕式があった1等巡洋艦青葉の元乗組員。「戦争の歴史を子どもに伝える教材になれば」と願っている。(加田智之)

 縦約85センチ、横約105センチの水彩画。広島市の方角にわき上がるきのこ雲を大きく描き、前面の警固屋沖には青葉を配している。

 仲根さんによると、米軍機による空襲で青葉が大破した後、同国民学校の校舎を宿舎にしていた。8月6日は朝礼が終わった直後に空が光り、校舎が大きく揺れだしたという。

 「地震か近くに爆弾が落ちたのだと思ったが、広島の方を見ると大きなきのこ雲があった。何年たっても忘れることができない」。絵は経験を伝えるため約10年前に描いた。記念碑建立を機に戦時中に過ごした同小への寄贈を決めた。

 仲根さんに当時の様子を聞いた原岡真澄校長は「絵を通じて警固屋の戦争の歴史や平和への願いを児童に伝えたい」と話していた。

(2012年5月30日朝刊掲載)

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