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連載・特集

日本遺産を巡る <5> アレイからすこじま 呉市昭和町

護岸の目の前 潜水艦

 「潜水艦がこんなに間近に見られるとは」。旧呉海軍工廠(こうしょう)のれんが建造物が立ち並ぶ市道沿いの護岸。旅行で妻と訪れた福岡市の小学校教諭穴井義人さん(58)は夕日に照らされる潜水艦を写真に収めた。

 英語で「小路」を意味する「アレイ」と、海軍拡充のために埋め立てられた呉湾の「烏(からす)小島」から名前を取った。約150メートル先に浮かぶ潜水艦目当てに、県内外から写真愛好家や家族連れが訪れる。

 護岸は旧呉鎮守府が1895年に築いた。一帯は工廠の兵器製造所があり、関連工場が並んでいた。敗戦後、海軍用地の多くは進駐軍に取り上げられ、英連邦占領軍が1956年まで使った。

 市が遊歩道として整備したのは85年。魚雷の積み込みに使ったクレーンがモニュメントとして置かれ、水雷試験発射場跡も残る。

 海上自衛隊呉基地を母港とする潜水艦は国内最多の10隻。桟橋から市道をはさんだカフェからも望める。(小笠原芳)=おわり

(2016年8月21日朝刊掲載)

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