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フクシマ繰り返すな 上関原発 双葉町の大沼さん 祝島でデモ参加

 福島第1原発事故で、福島県双葉町からの避難を強いられた自営業大沼勇治さん(40)=茨城県古河市=が29日、山口県上関町の祝島を家族で訪れた。大沼さんは小学生の時、原発PR標語を考え、双葉町内に掲げられた。だが、今も住めない故郷に「原発に明るい未来などない」との思いを強め、上関原発建設計画に反対する島内デモに加わった。

 大沼さんが小学6年の時、町の募集に応じて送った標語は「原子力明るい未来のエネルギー」。双葉町が1988年に設置した原子力推進の広報看板に記された。原発財源で潤う町に暮らし、採用された看板を誇らしく育ったという。

 しかし、2011年3月の原発事故で避難を余儀なくされ、3カ月後に生まれた長男も古里に一度も連れていけていない。看板は、原発と共存する町の象徴とされたが、「世界一間違えた標語だった」。脱原発の講演活動を続ける中で、原発反対運動を30年以上続ける祝島を知ったという。

 この日、大沼さんは妻と息子2人とともに島民が週1回ペースで続けるデモ行進に加わり、原発反対の声を上げた。「祝島には双葉町のようになってほしくない」と大沼さん。上関原発を建てさせない祝島島民の会の山戸孝事務局次長(39)は「原発を次世代に残したくない気持ちは同じ」と話した。(井上龍太郎)

(2016年8月30日朝刊掲載)

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