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社説・コラム

『ひと・とき』 映像作家・藤井沙織さん シリア 考える契機に

 ヨルダンに暮らすシリア難民たちに取材したドキュメンタリー「目を閉じれば、いつもそこに~故郷(ふるさと)・私が愛したシリア」を監督。広島市であった上映会で「シリアの紛争を止めるのに何が必要か。それを考える第一歩、シリアを知るきっかけになれば」と語った。

 ネット上には、長引く内戦で廃虚と化したシリアの街の画像があふれる。だが本作は、輝くばかりに美しいかつての風景を紹介し、難民たちの故郷に寄せる思いをすくい取った。

 広島市出身。大学進学で上京後、欧州や中南米、アジアへ旅を繰り返すうち、映像作家への思いが芽生えたという。「チベットで出会った人に、私たちのことを日本の人に伝えてほしいと言われたのが出発点」。番組制作会社で基礎を学び、シリア難民の取材にはフリーで挑んだ。

 初監督の本作を通じて育んだシリア人や支援団体とのつながりを糧に、「撮り続けていけたら」と前を見据える。(道面雅量)

(2016年9月24日朝刊掲載)

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