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原爆ドーム「歴史」発見 1920年県物産陳列館の感謝状 民家で見つかる

 被爆後、原爆ドーム(広島市中区)となった県物産陳列館で1920年にあった物産展で、出品者に贈られた感謝状が安佐北区可部南の民家で見つかった。安佐南区の主婦田中幸子さんの実家で親族が保管していた。

 感謝状は縦36センチ、横51センチ。オレンジ色の台紙に、左右対称に鳥や花を華やかにあしらう。原爆資料館(中区)によると、催しは20年10月10~20日にあった県生産品大展覧会。感謝状にある「山繭織」などの特産品が並び、約5万人が来場したとされる。

 市公文書館(同)の中川利国館長は「地場産業のけん引役を担った陳列館が、最新デザインの発信に努めた様子がうかがえる」としている。

 感謝状を受け取った田中松蔵氏(47年に76歳で死去)は幸子さんの曽祖父。可部地区で織物業や酒造業を手掛けていたという。

 幸子さんは今春、実家を解体する際に感謝状を見つけた。近く、市公文書館に感謝状を寄贈する。「原爆ドームの歴史につながる資料として役立ててほしい」としている。(奥田美奈子)

(2016年9月27日朝刊掲載)

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