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「この空の花」の大林監督に聞く 「戦争伝える」原点に回帰

 尾道市出身の映画監督大林宣彦さん(74)=東京都=の最新作「この空の花~長岡花火物語」が各地で公開されている。戦時中の空襲や中越地震の犠牲者を悼む新潟県長岡市の花火大会を題材に、平和や復興への願いを込めた作品。帰郷した大林さんに映画やふるさとへの思いを聞いた。(木原由維)

 ―長岡花火を題材にした理由は。
 2009年8月に初めて見たとき、悲しい体験を乗り越え、明日を築こうとする気持ちが花火から伝わり感動した。この気持ちを一人でも多くの人に伝えたいとの思いが募り、制作を決めた。山下清の貼り絵「長岡の花火」からも着想を得た。

 ―脚本執筆中に東日本大震災や福島第1原発事故が発生しました。映画に与えた影響は。
 正しいとされていたことが実は間違いだったという、価値観がひっくり返る経験をした。これが敗戦後の日本と重なり、あらためて戦争の悲劇を伝えねばと思った。若い世代が戦争について学び、議論するきっかけとなる映画になればとの思いを込めたつもりだ。

 ―尾道との関わりはありますか。
 この映画は僕の生き方を表している。戦争を伝え、平和を祈る原点回帰の一作。尾道水道がいつも変わらず美しいように、僕たちの平和を願う気持ちも共通している。そのことを映画人生の出発点、尾道でよりいっそう強くした。僕が生まれ育った尾道の人にぜひ見てもらいたい。

(2012年6月23日朝刊掲載)

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