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平和記念聖堂補強へ 耐震工事 来月から観覧制限 広島市中区

 原爆犠牲者の慰霊や世界平和を願って建設され、国の重要文化財に指定されている世界平和記念聖堂(広島市中区幟町)が、11月から耐震工事に入る。2019年3月までの約2年半がかり。工期中は内部の一般観覧が制限される。

 管理するカトリック広島司教区によると、敷地の土壌に軟弱な部分があり、液状化に備える必要がある。震度6強を想定した耐震調査を13、14年に行ったところ、「平和の鐘」をつった高さ45メートルの鐘塔が東西方向の揺れに弱いと分かった。

 このため、鐘塔の基礎部分の四つ角に、支持ぐい(長さ25メートル)を固い地層まで打ち込む。聖堂本体の玄関の鉄骨補強、壁面の亀裂の補修、屋根の銅板のふき替えなども予定する。総工費は約10億円。国などの補助金や、継続して積み立てている寄付金で賄う。

 同聖堂は、幟町カトリック教会で被爆したフーゴ・ラサール神父が欧州や南米、北米を回って寄付を募り、約1億円で建設。村野藤吾の設計で1954年に完成した。06年、原爆資料館(中区)とともに戦後建築では初めて国の重文に指定された。

 工事中、土日曜のミサはほぼ継続するが、工事が本格化する11月半ばから、一般観覧は司教区が設ける見学日を除いてできなくなる。(桜井邦彦)

(2016年10月25日朝刊掲載)

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