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南米の健診者連続減 68人 被爆者高齢化進む

 ブラジルなど南米5カ国の被爆者の健康診断のため広島県が派遣した医師団が28日、県庁で帰国会見をした。被爆者の高齢化が進み、健診したのは68人だった。県は1985年からほぼ隔年で医師団を南米に派遣。日系人が多いブラジルを訪問しなかった2002年と06年を除くと、健診した人数は2回連続で過去最少を更新した。

 2~15日、3班に分かれてブラジル▽アルゼンチン▽パラグアイ▽ペルー▽ボリビア―の5カ国の8都市・移住地を巡回。現地の医療機関での事前検査の結果を基に、70~103歳の68人(うち電話相談3人)を問診した。

 会見には、総団長の平松恵一県医師会長たち医師3人が出席。平松会長は「日本語での相談は細かい症状まで意思疎通でき、喜ばれているが、高齢化で外出が困難な被爆者も多くなっている」と振り返った。

 受診者は過去最少だった14年の79人からさらに11人減った。国別ではブラジルが約9割の61人で、アルゼンチンが4人、パラグアイ、ペルー、ボリビアが各1人。平松会長は「訪問先の被爆者が1人になっても続けたい」と強調した。

 また、1月に始まった在外被爆者への医療費全額支給の申請手続きが、現地の医療機関に書類提出を依頼する必要があるなど煩雑なことを課題として指摘。大使館などに手続きの援助を要請したという。

 南米5カ国の被爆者は現在約130人。今回で県の医師団の健診を受けたのは延べ1661人になった。(明知隼二)

(2016年10月29日朝刊掲載)

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