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日中友好 深めるには 楊准教授「対話を」

 「日中の和解」をテーマにした研究フォーラムが15日夜、広島市立大広島平和研究所(中区)であった。米ジョージ・ワシントン大准教授(日本近代史)で、早稲田大客員教授の楊大慶氏(47)が講演。「対話を通じて両国の歴史認識のギャップを埋めることが必要だ」と強調した。

 中国の南京市出身の楊氏は、日中国交正常化(1972年)前の50年代に2度、日本の旧軍人グループが中国政府の招きで中国を訪問し、毛沢東主席らと会談したことを紹介。国交回復が重要課題だった中国側と、現地での情報収集などが目的だった日本側が、ともに日中戦争の話に深く触れなかったため、その時の訪問では「浅い和解しかできなかった」と分析した。

 その上で、「今後、真の友好関係をつくるには、歴史問題での和解が必要だ」と指摘。指導者に任せるだけではなく、研究者が国境を越えた共通の歴史認識をつくり、国民が対話によって互いに理解し合うことの大切さを訴えた。

 フォーラムは平和研の主催で、27人が参加した。(増田咲子)

旧日本軍人の中国訪問
 1956、57年の2回、幹部クラスを中心とした旧軍人がグループで中国の北京、長春、南京、上海などを訪れ、政府首脳と面会した。国交正常化を目指す毛沢東主席が、旧軍人の訪中を求めたとされる。現在の中国では、日本軍人はマイナスイメージで捉えられるが、当時は友好的に報道された。楊氏によると、中国側は当時、歴史問題について深く追及しない姿勢を取り、国交正常化の70年代まで続いたという。

(2012年6月25日朝刊掲載)

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