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上関原発計画埋め立て免許 知事が失効示唆

 山口県の二井関成知事は25日の県議会代表質問で、中国電力の同県上関町への原発建設計画をめぐり、10月に期限切れになる予定地の公有水面埋め立て免許について、現状では延長を認められないとの見解をあらためて示した。答弁後、知事は取材陣に「免許期間中に(延長を認める)結論を出すのは非常に難しい」と述べ、免許の失効を示唆した。

 知事は国が今夏をめどに見直しをしている原発の新増設を含むエネルギー政策の中で、上関原発の位置付けが不透明と指摘。「埋め立ての前提となる土地利用計画も不透明。現時点で延長申請があっても認めることはできない」と答弁した。

 さらに、エネルギー政策に上関原発が組み込まれた場合でも「新たな安全基準を満たす原子炉の位置や規模が決まらないと土地利用計画は確定しない」として、延長を認める「ハードル」を上げる新たな見解を示した。

 引退表明した二井知事の任期は8月21日まで。答弁では「免許が失効した場合の新たな免許は新しい知事が適切に判断すると考えている」とした。

 山口県は2008年10月に免許を交付したが、反対派の抗議活動で工事はほとんど進まず、昨春の福島第1原発事故後は中断している。完工期間の期限が10月6日に迫り、延長申請が避けられない情勢だが現時点で中電は申請していない。知事が延長を認めない姿勢を示す中での手続きは困難で、免許失効の公算が大きくなった。

 二井知事は取材陣に「私が失効させるということではない。(今後、策定される)原発の安全基準や防災指針を踏まえた土地利用計画策定にはかなりの時間がかかるので、期間中に延長を検討することはないだろうという判断だ」と述べた。

 県港湾課によると、失効すれば再申請が必要となる。手続きは08年と同じで、県は環境保全策を含む書類の審査や願書の縦覧、地元自治体の意見などを踏まえ、判断する。08年は申請から交付まで約4カ月要した。

 中電上関原発準備事務所は「国のエネルギー政策の議論の方向性を見ながら、対応を検討していきたい」としている。(金刺大五、久保田剛)

(2012年6月26日朝刊掲載)

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