×

ニュース

原爆も題材 多彩な作品 11~13日 広島国際映画祭 

吉永小百合らゲスト「平和賞」創設

 広島国際映画祭が11~13日、広島市中区のNTTクレドホールを主会場に開かれる。原爆を題材にした意欲作や第一線で活躍する監督の作品など、国内外の40本を上映。ゲストは俳優の吉永小百合や、岩井俊二、西川美和両監督ら豪華な顔ぶれが並ぶ。(余村泰樹)

 広島関連のプログラム「ヒロシマEYE」は多彩な作品がそろう。バリー・フレシェット監督「灯籠流し」は、広島で被爆死した米兵捕虜の足跡をたどる森重昭さんを取材したドキュメンタリー。中国出身のジュン・ヤン監督「罪と許しの時代」は、被爆70年の広島で交わされる恋人の会話から罪や許しについて見つめる。名作「ヒロシマ・モナムール」へのオマージュでもある。

 原爆ドームの写真をつないだ短編で文化庁メディア芸術祭大賞に輝いたフランス人のジャン・ガブリエル・ペリオ監督は、オール広島ロケした「なつのひかり」を出品。シンガポール人のイボンヌ・ン監督「雲 Cloud Kumo」は、原爆の後遺症に屈せずに生きる祖母と孫娘の物語だ。

 招待作品は、ゲストのトークとともに掘り下げる。長崎原爆をテーマにした山田洋次監督「母と暮せば」(バリアフリー版)には主演の吉永が登壇。岩井監督は、最新作「リップヴァンウィンクルの花嫁」のほか、中区の映画館「八丁座」で上映するドキュメンタリー映画「市川崑物語」とオールナイトで届けるテレビドラマ「なぞの転校生」(全12話)の前後でトークする。

 安佐南区出身の西川監督はデビュー作「蛇イチゴ」で来場。戦中戦後の広島、呉が舞台のアニメーション「この世界の片隅に」では片渕須直監督と原作者こうの史代さんが語る。

 国際短編映画コンペティションには6本がエントリー。映画祭スタッフがグアナファト国際映画祭(メキシコ)で発掘した作品や、ベネチア映画祭で上映経験のあるスペインのホセ・ルイス・ゲリン監督の作品など、見応えある短編がグランプリや観客賞を競う。

 若手監督特集は、酒井麻衣「いいにおいのする映画」や金子雅和「アルビノの木」を西区の横川シネマで上映。中区の市映像文化ライブラリーでは、フランスの映画資料館「シネマテーク・フランセーズ」所蔵の逸品を紹介する。

 今年から「ヒロシマ平和映画賞」を創設。過去2年以内に製作され、ヒロシマの心を伝える上映作品を表彰する。

 3日間のフリーパス2500円(前売り2300円)、1日券1500円(同1200円)。中学生以下無料。市映像文化ライブラリーは別料金。映画祭事務局Tel082(228)5226。

(2016年11月5日朝刊掲載)

年別アーカイブ