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中電総会廃炉否定 島根県「国判断待つ」

 中国電力は27日開いた株主総会で、あらためて島根(松江市)、上関(山口県上関町)の両原発の重要性を強調した。ただ、国のエネルギー基本計画の見直しの中で原発の位置付けが決まっておらず、二つの原発の地元では、反発の声が上がる一方で冷静な受け止めも目立った。

 島根原発では1号機が運転開始から38年を経過したが、松井三生副社長は総会で「廃炉の計画はない」と強調。これに対し、島根原発増設反対運動(松江市)の芦原康江代表(59)は「住民の安全を考えると、廃炉の選択しかない」と反発した。

 再稼働の是非を判断する島根県の溝口善兵衛知事は「専門家がどう判断するかにかかっている」と強調。松江市防災安全部の小川真部長も「明確な基準を国が示さない段階では、何とも言えない」と述べ、いずれも国の方針を待つ構えだ。

 新設の上関原発についても、中電は必要性を強調。地元推進派の上関町まちづくり連絡協議会顧問井上勝美さん(68)は「安全性を再優先しないと住民の理解は得られない」としながらも、「地域の活性化、技術継承のためにも早く建設を」と求めた。

 上関原発を建てさせない祝島島民の会の清水敏保代表(57)は中電本社(広島市中区)前で抗議行動に参加し、「本当に新規建設が中電のためと考えているのだろうか。理解に苦しむ。計画がつぶれるまで闘う」と話した。

(2012年6月28日朝刊掲載)

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