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黒い雨訴訟 不平等訴え 広島地裁

 広島の原爆投下後の「黒い雨」を浴びて健康被害を受けたのに、被爆者健康手帳などの交付申請を却下したのは違法として、広島市や広島県安芸太田町などの男女計64人が、市と県に却下処分の取り消しを求めた訴訟の口頭弁論が21日、広島地裁であった。原告側は、健康診断の対象となる「大雨地域」外の原告も援護対象とするよう訴えた。

 国は爆心地から市北西部にかけて大雨地域(長さ約19キロ、幅約11キロ)を援護対象区域に指定。区域内で雨を浴びた住民たちに、健康診断の費用が無料となる受診者証を交付し、健康診断をしている。

 原告側は、この援護対象区域を国が強雨地域に限定しており、同じ黒い雨を浴びた被爆者の権利を侵害し、被爆者間に不平等を生んでいると指摘した。一方、被告側は被爆者援護には他の戦争被害者や一般国民の生活状況などを考慮した政策的判断も不可欠で、指定は違法ではないとしている。

(2016年11月22日朝刊掲載)

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