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広響、世界へ平和の調べ 来年2月から 20年まで5回開催 海外演奏家招き広島で交流

 広島交響楽団は2020年にかけ、世界に向けた平和のメッセージ発信を強める。楽団キャッチフレーズ「Music for Peace」を掲げ、複数の海外演奏家を招集するコンサートを年1回のペースで開く。音楽交流や原爆資料館の見学を通じて平和への思いを共有し、広く海外へ伝えてもらう。(余村泰樹)

 20年までに5回を予定する一連のコンサートは、被爆70年の昨年に協演した世界的ピアニストのマルタ・アルゲリッチが、音楽で平和を希求する広響の理念に共感したことから動き始めた。アルゲリッチは広響の平和音楽大使に就任し、広島訪問の意義などを多くの仲間に伝達。思いを実現する場として企画された。

 海外から、ソリストだけでなく、オーケストラの一員としてステージに上がる演奏家も招く点が特徴だ。第1回のコンサートは、文化庁の戦略的芸術文化創造推進事業として来年2月16日に開く。15年のショパン国際ピアノ・コンクール2位のピアニスト、シャルル・リシャール・アムランがソリスト。ポーランドの管弦楽団シンフォニア・バルソビアのバイオリンとフルート、カナダのモントリオール交響楽団のコントラバスとホルンの計4人を迎える。

 海外ゲストが全員、原爆資料館を見学するほか、アムランは被爆ピアノによる演奏会も予定。海外の音楽評論家5人程度も迎え、コンサートの模様を発信してもらう。

 その後も年度ごとに、各国のオーケストラからゲストを迎える。ベートーベンの生誕250年に当たる最終年の20年には、これまで参加した海外奏者も加えて交響曲第9番「合唱」の演奏を目指す。

 第1回は広響音楽監督・常任指揮者の秋山和慶が指揮。アムランがショパン国際ピアノ・コンクール本選で奏でたショパンのピアノ協奏曲第2番を披露するほか、藤倉大の「infinite string」とベートーベンの交響曲第5番「運命」も演奏する。広響事務局Tel082(532)3080。

(2016年11月26日朝刊掲載)

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