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宮島の原爆秘話 奨励賞 「地方の時代」映像祭 広経大生 証言掘り起こし評価

 広島経済大(広島市安佐南区)メディアビジネス学科の学生が撮った映像が、地方の優れたドキュメンタリー作品を表彰する「地方の時代」映像祭で奨励賞を受賞した。広島で被爆後、宮島(廿日市市)に運ばれて亡くなった人たちがテーマ。わずかな記録しか残っていない惨状について、証言を掘り起こしたことが評価された。

 タイトルは「忘れられた魂」。映像制作を学ぶゼミの3、4年生6人で取材班を組み、約1年間に11回、島を訪れて作った。

 広島市の広島原爆戦災誌には、宮島に運ばれた被爆者は7カ所の寺に収容され、335人が亡くなったとある。各寺に記録がないなか、取材班は町内会などの協力を得て、看病にあたった当時の厳島国民学校(現・宮島小)教員や児童たち6人にインタビューした。

 当時小学6年だった住民男性は、被爆者は寺以外にも運ばれ、元旅館の畳敷きの和室に100人以上が収容されたと証言。「1日に5人も6人もの人が亡くなっていった」などと語っている。

 同大が出品した「市民・学生・自治体」部門には全国から106本が寄せられ、9本が入賞。編集担当の4年奥村達也さん(22)は「貴重な証言を引き出す難しさ、それを記録しなくてはいけないという使命を感じながら作った。受賞で苦労が報われた」と喜んでいた。(木原由維)

(2016年11月28日朝刊掲載)

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