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迅速な情報提供望む声 F35事故 政府、山口県・岩国市に説明

 最新鋭ステルス戦闘機F35Bの米国での出火事故について、米側の調査結果に基づき「安全性に問題はない」との政府見解が29日、県と岩国市に示された。ただ、自治体側には事故発生から10日以上たって国が事故を把握した点を疑問視する声が根強い。日米間と、さらには自治体への情報提供の在り方に課題が残る。(野田華奈子)

 「小さなトラブルでも日本で同じことが繰り返されるかもしれない。情報だけは把握する約束を米軍と交わしてほしい」。事故の説明に市役所を訪れた岸信夫外務副大臣たちに、福田良彦市長と同席した市議会の桑原敏幸議長は念を押した。

 米海軍安全センターが最も重い「クラスA」の重大事故とした出火事故は、10月27日に米国内で発生。福田市長が米アリゾナ州の海兵隊ユマ基地でF35Bを視察し、帰国した直後だった。

 騒音や安全性などの観点から「住民生活への影響は現在より悪化しない」として市が容認し、県も容認を表明した直後の今月8日に防衛省が事故を把握。端緒について岸外務副大臣は、この日の会談後、「日米間のやりとりについては控えさせていただきたい」と明確にしなかったが、米軍から積極的な情報提供はなかったとみられる。

 今後の対応として、日本国外の事故でも日本側の関心が高い事案は速やかに情報提供するよう米側に要請したという。ただ、地元が求めるような両国間のルール化のハードルは極めて高い。宮沢博行防衛政務官は「平素からさまざまなレベル、手段で情報収集をしているが、米軍との連携をさらに密接にしていきたい」と述べた。

 桑原議長は会談で、12月20日までの市議会定例会会期中に全員協議会を開く考えを示し、その場での国側の説明を求めた。福田市長は、市議会の一般質問や全員協議会でのやりとりを踏まえ、留保している受け入れについてあらためて判断するとしている。

(2016年11月30日朝刊掲載)

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