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社説・コラム

社説 オスプレイ空中給油 再開容認 納得できない

 事故原因も調査中で特定されていない段階だ。十分に安全性が確保されたとは言い難い。反対する沖縄県民の声も無視した訓練の再開である。到底理解できない。

 米軍は普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属の垂直離着陸輸送機オスプレイについて、空中給油訓練を再開すると日本側に伝え、日本政府は受け入れた。きのう沖縄の米軍基地からはオスプレイと空中給油機が離陸、訓練を再開した。

 昨年12月、名護市沿岸で浅瀬に突っ込み大破した事故から1カ月もたっていない。沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事が「米軍の要求を最優先する政府の姿勢は信頼関係を損ね、強い憤りを感じる」と批判したのも当然である。

 事故は、沖縄本島沖の空域で、夜間の空中給油訓練中に起きた。米軍は、給油ホースにオスプレイのプロペラが接触したためで「機体構造などに問題はない」と強調し、事故からわずか6日後に飛行を再開。日本政府は受け入れた。そして今回の給油訓練も簡単に容認した。

 オスプレイのプロペラは大きい。水平にした固定翼モードから垂直離着陸モードにプロペラの向きを転換する際に、機体が不安定となるなど、空中給油時の危険性は一部の専門家から指摘されていた。

 米軍が主張するように、機体や装備に問題はなかったとしても、なぜホースとプロペラが接触するトラブルが起きたのか、という根本的な原因は明らかになっていない。操縦の難しさに加え、構造上の問題点も無視できないはずだ。

 米軍は「人的要因と乱気流などの環境要因、夜間の空中給油の複雑さが重なった可能性がある」と説明している。裏返せば、搭乗員のスキルや気象条件によっては、これからも事故は起きる可能性があるということではないか。

 政府が「安全に空中給油を実施する準備が整った」と強調しても、沖縄県民の納得は得られまい。最終的な原因解明を待たずに、訓練を強行する米軍と、いうがままに受け入れる日本政府の姿勢に問題がある。

 そもそも日本側は、事故機の主要部分は米軍が回収したため、実際には見ていない。日米地位協定にも阻まれ、事故原因の究明に関与できていない。

 米側の説明だけを根拠にして、どうやって国民の安全に責任を負うのだろう。再開の判断を見直すべきである。

 稲田朋美防衛相は、米側の再発防止策について「防衛省の専門的知見や経験と照らしても妥当だ」と評価した。

 しかし、搭乗員の訓練や陸上でのシミュレーションなどを1カ月足らず繰り返しただけで、どれだけ安全性が担保できたのか疑問が残る。

 普天間を拠点にする海兵隊のオスプレイは岩国基地(岩国市)に頻繁に飛来し、千葉県の陸上自衛隊木更津駐屯地で定期整備も始まる。その陸自も17機を導入し、東京都の米軍横田基地には空軍が配備する計画だ。

 低空飛行訓練ルートは九州から四国、東北地方まで広範囲に設定されているとされる。安全性に疑問の残るオスプレイが、日本各地の空を飛び回るようになる現実を直視しなければならない。沖縄だけの問題で済ませてはならない。

(2017年1月7日朝刊掲載)

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