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新成人 志高く歩む 中国地方 地域への愛着も 広島に恩返し/女性が働きやすい社会を

 中国地方各地で8、9の両日にあった成人式の会場で、新成人に将来の夢や政治、外交についての意見を尋ねた。地域への愛着や社会貢献の意欲にあふれ、身近なテーマから政治への関心を深めようとする若者像が浮かび上がった。

■将来の夢

 ものづくりや教育などを通じて、地域の役に立ちたいと志す声が目立った。

 県立広島高等技術専門校2年由村貴宏さん(19)=広島市東区=は今春、広島県内の建設会社に就職する。「顧客の要望に沿った家や商店を造り、育ててくれた広島に恩返ししたい」。広島工業大2年松岡拓弥さん(20)=廿日市市=は「身体障害者の生活を支える器具の開発に携わる」のが夢。高校から身に付けた技術と経験を生かすつもりだ。

 恩師と同じ道を歩む決意も。広島大2年城和志さん(20)=東広島市=は「小学校の担任が親身に相談に乗ってくれた。いじめや不登校などが絶えないからこそ、子どもと真正面から向き合いたい」と誓った。

■選挙・政治

 「18歳選挙権」が昨年導入され、未成年で投票した最初の世代も含まれる。浜田市の島根県立大2年上代美帆さん(19)は「昨夏の参院選では政策はよく分からず、街頭演説を見掛けた候補に投票した」と明かす。一方で、島根、鳥取の両選挙区の合区には「地域の声が国政に届かなくなる」と懸念を抱き、「政治について見識を深めたい」と前を向く。

 身近だと感じる政策分野には、注文や要望が相次いだ。「広島県知事選には行く」という尾道市立大2年難波日向子さん(20)=福山市=は「女性が子どもを産んでも働き続けやすい社会の実現」、広島大2年の内海翔さん(20)=広島市南区=は「大学の学費の値下げ」をそれぞれ求めた。

■平和・外交

 昨年5月のオバマ米大統領の広島訪問を核兵器のない世界への前進と評価しつつ、次期大統領のトランプ氏の言動に不安を持つ声が聞かれた。広島市佐伯区のネイリスト中沢瑞希さん(20)は「女性蔑視発言は腹立たしいし、日韓の核武装を容認するような発言も怖い」。一方、鳥取市の鳥取大2年池永直人さん(20)は「最初から敵視せず、話をすれば突破口が開ける可能性があるのでは」と見立てる。

 広島市東区の広島修道大2年の梅木悠花さん(20)は「オバマ氏訪問でヒロシマから平和の尊さを発信できたが、一過性に終わらせないことが大事。核廃絶の署名など地道な活動を市民が続けることが大切だと思う」と力を込めた。

(2017年1月10日朝刊掲載)

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