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平和アパート解体へ 広島市「時期は今後詰める」

 広島市は、2025年度までの市営住宅の維持管理計画を決定した。老朽化や耐震性不足のため、30カ所計1452戸を解体する。うち原爆詩人の峠三吉(1917~53年)が暮らした中区昭和町の平和アパート(72戸)を含む5カ所計255戸では、民間ノウハウを生かした事業手法を検討する。

 平和アパートは鉄筋4階建ての3棟。18、19年度に相次ぎ耐用年限(70年)を迎える。計画上は解体後、民間事業者に市営住宅スペースを含む建物を新築してもらったり、跡地を売却したりするケースを想定している。

 峠は50年から亡くなるまで、3号棟4階の一室で暮らした。敷地内には、「原爆詩集」に収録された「河のある風景」の詩文が刻まれた石碑がある。市住宅政策課は「建物の解体時期や石碑の扱いは今後、詰める」としている。

 市営住宅は125カ所計1万4609戸(昨年4月1日時点)ある。今回の計画では、解体する残りの物件のうち、中区の基町住宅17号棟(177戸)など10カ所計993戸は建て替え、小規模住宅を中心に15カ所計204戸は廃止。生活圏の近い市営住宅群内で再編、集約を進め、現状の管理戸数をおおむね維持する方針だ。(和多正憲)

(2017年1月12日朝刊掲載)

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