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社説・コラム

寄稿 米の高校生指導 若者グループ河浜代表 

影絵で結ぶ 広島・ハワイ 作品 和解の懸け橋に

 被爆前の市民の暮らしや復興の様子を影絵で伝える広島の若者グループ「影絵ユースワークショップ」が今月、米ハワイにあるオバマ大統領の出身校プナホウ学園を訪れ、授業で高校生約40人に影絵作りを教えた。代表の広島女学院大3年、河浜萌子さん(20)=広島市佐伯区=が現地での活動と感想を寄せてくれた。

 目的は影絵を通して平和を伝えることでした。生徒にも「おもいやり」「平和」をテーマに作ってもらいました。私たちメンバーは、意図が伝わるか、時間内に完成するかなど不安でいっぱいでした。しかし作品が出来上がって学園の図書館に並べた時、確信しました。文化や言葉の違いを超え、誰もが持つ平和への思いがつながった―と。

 まず私たちが広島で毎年8月に開いている「小さな祈りの影絵展」を紹介しました。続いて、生徒は約10人ずつでグループになり、身近な「おもいやり」について話し合ってイメージを膨らませた後、1人ずつ作り始めました。

 下絵を写した黒画用紙を切り抜き、カラーフィルムや和紙と貼り合わせます。最初はどうやって作るか不思議そうでしたが、メンバーの手助けを受け、赤や黄、青など鮮やかな色の材料を選ぶうち、楽しんで取り組んでいました。

 完成後に各自で発表。鶴が飛び立つ構図は、鶴を折って回復を願った佐々木禎子さんの話から生まれました。つながれた手を描いた作品のタイトルは「Together」(共に)。幸せに暮らし、互いを理解する必要を訴えています。原爆ドームやハトがモチーフの力作もそろいました。

 気持ちが形となり、光に照らされるたび、生徒から歓声が上がりました。影絵を「きれい」と思う感情は、どんな人も変わらないと感じました。美しいものを「美しい」と感じられるのも一つの平和です。灯籠流しを描いた女子生徒(16)は「和」の字をあしらい、「日米が和解するメッセージを影絵にして送りたかった」と声を弾ませました。

 私たち7人は1月4、5日に学園で教えた後、6日に真珠湾のアリゾナ記念館を訪れて、見学者に鶴を折ってもらう「サダコプロジェクト」にも参加。学園では今後も、影絵作りを続けてくれるそうです。私たちもハワイと広島をつなぐ若い世代として、交流を続けていきたいです。

(2017年1月16日朝刊掲載)

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