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被服支廠 有識者と議論 活用策 広島知事「役割増している」

 湯崎英彦知事は17日の記者会見で、広島市内で最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)の活用検討に向けた調査を2017年度に実施する方針を固めたことに関連し、調査結果を踏まえて有識者らと活用策を議論したいと説明した。

 爆心地の南東約2・7キロに立つ被服支廠は、爆風でゆがんだ鉄扉など72年前の被爆の爪痕を残す。湯崎知事は、被爆建物の減少や見学者の増加を挙げて「役割が増している」と強調。「いろんな意見を伺い、具体的な保存策を考えたい」と述べた。

 また、「最大の障害は耐震化費用」とする一方、1棟当たり約21億円かかるとした1996年の県の調査を念頭に「技術的な進展に加え、耐震診断の基準も変わっている」と指摘。より安価な耐震化の手法を探る考えも示した。

 被服支廠は現存する4棟のうち県が3棟、国が1棟を所有。県が06年にロシアのエルミタージュ美術館の分館誘致構想を見送って以降、活用検討が進んでいなかった。県は、17年度当初予算案に調査費2200万円を計上し、1棟の耐震性能などを調べる方針。(樋口浩二)

(2017年1月18日朝刊掲載)

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