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軍事拠点化着々 F35配備の岩国基地

 18日に始まった最新鋭ステルス戦闘機F35Bの米海兵隊岩国基地(岩国市)への配備は、同基地の軍事的拠点性を強める第一歩と言える。7月以降、米海軍厚木基地(神奈川県)から空母艦載機部隊の移転も予定されており、米軍機は倍増の120機超となる見通し。「矢継ぎ早」ともいえる配備に、安心して暮らせる環境を保てるのか、市民の不安はくすぶる。

 「他国も軍事技術をアップさせている。最も現代的で高度な能力を持つF35の配備でかなりの抑止力につながるのは間違いない」。昨年9月の岩国市議会全員協議会。「抑止力」を疑問視する市議に、宮沢博行防衛政務官は力説した。

 米国が日本の岩国基地を国外初の配備先とした背景には、軍備拡大の傾向が目立つ中国、事実上の弾道ミサイルや核開発を進める北朝鮮を念頭に抑止力強化の狙いがあるとみられる。

 ただ、F35B配備を巡っては昨年10月末に米国内で起きた出火事故の報告が米側から日本政府に速やかに伝えられないなど、地元自治体が不信感を抱かざるを得ない問題もあった。年末にかけて岩国基地に関連するほかの米軍機事故も相次いだ。そこに今月5日、在日米海軍が艦載機移転の時期を発表し、基地を取り巻く状況は急変している。

 F35Bの第1陣が飛来した18日夕、基地北側の堤防道路で市民団体メンバー約20人が抗議活動をした。配備反対市民集会実行委員会の岡村寛実行委員長は「安全対策もできていない中、急いで配備する必要性が全く理解できない。日本政府は米軍の運用を全て追認している」と強く批判した。

 福田良彦市長は同基地内でリチャード・ファースト司令官とともに到着状況を確認。その際、市街地上空の飛行を極力控え、住民生活に影響のない運用に努めることや隊員教育の徹底を要請したという。要請後、福田市長は「運用や騒音についてしっかり状況を把握したい」と述べた。(野田華奈子、馬上稔子、藤田智)

(2017年1月19日朝刊掲載)

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