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「安全性 十分配慮を」 F35 岩国基地に到着 住民、複雑な思い交錯

 最新鋭ステルス戦闘機F35Bが米海兵隊岩国基地(岩国市)に到着した18日、基地のそばでは、配備に反対する市民団体が抗議活動を展開。報道陣や航空ファンが詰め掛け、米国外で初配備の瞬間を注視した。安全性や騒音悪化への懸念がある中、周辺住民には複雑な思いが交錯した。(松本恭治、馬上稔子、藤田智)

 日没間際の午後5時25分、基地南側の空にF35B2機が姿を現した。滑走路の真上を通り過ぎ、ごう音を響かせて大きく右旋回。3分後、再び南側から1機ずつ着陸した。基地内をゆっくりと移動して駐機場へ向かった。

 到着前の同5時、滑走路が見渡せる基地北側の今津川沿いの堤防道路の一角で、配備に反対する市民団体のメンバーたちが抗議の声を上げた。「岩国基地の拡張・強化に反対する広島県西部住民の会」の坂本千尋事務局長(63)は「飛行音は静かと聞いていたが、思ったより大きい」と印象を語った。

 F35Bがアリゾナ州を出発し、岩国へ向かったと米海兵隊が発表したのは10日。以降、堤防道路には連日、見学などの車列ができ、この日午後4時すぎには70台を超えた。同市に帰省中で、着陸の様子を双眼鏡で見た千葉県浦安市のコンサルタント業藤田輝雄さん(56)は「今後、F35Bを目当てに岩国を訪れる人も増えるのではないか」と話した。

 岩国基地に隣接する川下地区の住民は、さまざまな思いで配備を受け止めた。楠町の室重美枝子さん(74)は、同基地に関係する米軍機の事故が相次いだことに触れ、「いつどこに墜落するか分からない。新たな米軍機は岩国に来てほしくない」と語気を強めた。

 旭第2自治会の為重英雄会長(66)=旭町=は「『機種変更』と言われているし、行政が安全だとして配備を認めたなら、住民は信じるしかない。ただ、基地に隣接する町の活性化や安全性には十分な配慮をしてほしい」と注文した。

(2017年1月19日朝刊掲載)

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