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7月にも岩国移転 伝達 岸副大臣、地元に 61艦載機3800人

 在日米軍再編で岩国市の米海兵隊岩国基地へ米海軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機が移転する計画について、国は20日、同市と山口県などに対し「早ければ7月以降」と、移転開始時期を伝えた。計画では、2018年5月にかけて計7部隊の61機が順次配備される見通しで、岩国基地は機能拡大に向けた転換期を迎える。

 岸信夫外務副大臣と宮沢博行防衛政務官が市役所と県庁を訪れ、福田良彦市長と村岡嗣政知事にそれぞれ伝えた。国側の説明によると、最初に配備が予定されるのはE2D早期警戒機5機で、空母ロナルド・レーガンが横須賀に寄港する7月以降に配備される。2月から岩国基地で2、3カ月間、配備前の訓練をする。

 11月ごろには激しい騒音の主因とされるFA18スーパーホーネット2部隊が移転。18年1月ごろにはEA18G電子戦機部隊とC2輸送機部隊、5月ごろにはFA18スーパーホーネット2部隊が移転し、軍人や軍属、家族計約3800人も移る。宮沢防衛政務官は移転機数を「米側は公表していないが政府としては61機と見込んでいる」とし、当初計画の59機より2機増える可能性を明らかにした。

 また国は、06年に地元自治体に示した艦載機移転後の騒音予測図を更新。住宅防音工事の助成対象区域の基準となる、W値(うるささ指数)75以上の区域は約650ヘクタールとなり、06年当時に予測した約500ヘクタールと比べて同市由宇町や和木町などの一部で増えるとした。国は移転後に騒音を調べ、助成対象となる「第一種区域」を見直す方針だ。

 福田市長は、住宅防音工事区域拡大などの安心安全対策や地域振興策について「多くの市民が納得できる回答をいただいていない」と重ねて国側に実現を要望。岸副大臣は「政府を挙げて、できることは全て行う」と応じた。

 移転容認の判断について、福田市長は「(要望実現に向けた)国との協議の先にある」とし、村岡知事は「地元市町や議会の意見を聞きながら適切に判断する」と述べた。(野田華奈子)

<岩国基地への艦載機移転スケジュール>

▼2017年
 7月以降  E2D早期警戒機5機
 11月ごろ FA18スーパーホーネット2部隊
▼18年
 1月ごろ  EA18G電子戦機部隊
       C2輸送機部隊
 5月ごろ  FA18スーパーホーネット2部隊

米空母艦載機移転計画
 在日米軍再編で米海軍厚木基地(神奈川県)の艦載機59機が米海兵隊岩国基地に移転する計画。日米両政府が2006年に合意した。その後の機種や機数の変更により、日本政府は現在61機とみる。移転によって岩国基地の配備機数は倍増の約120機、隊員や家族は1万人を超える見通し。移転準備のため、岩国市中心部の愛宕山地区では米軍家族住宅や運動施設の整備が進む。在日米海軍が今月5日、17年後半からの移転開始を発表した。

(2017年1月21日朝刊掲載)

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