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平和テーマ 広島巡り 広島市、外国人向け環境整備へ

ルート設定/スマホに英語解説/Wi―Fi

 外国人観光客の増加を受け、広島市は新年度、平和をテーマにした観光周遊の推進に力を入れる方針を固めた。「ピースツーリズム」と銘打ち、世界遺産の原爆ドーム(中区)を起点に被爆建物などの平和関連施設を巡るルートを設定。各施設に向けてスマートフォンをかざすと、画面上で被爆前後から現在までの写真や、英語の解説を見られるようにする。

 複数の関係者によると、想定ルートは、いずれも被爆建物の旧日本銀行広島支店(同)や袋町小平和資料館(同)、昨春に大正期の姿に復元された猿猴橋(南区)など。「平和の丘」として再整備する比治山公園(同)、国重要文化財の世界平和記念聖堂(中区)も候補になっている。

 各施設周辺で、スマートフォンやタブレット端末の画面に被爆前のにぎわいや被爆直後の写真、英語の解説が映し出されるアプリを開発。拡張現実(AR)の技術を活用する。公衆無線LANサービス「Wi―Fi(ワイファイ)」の導入も進める。

 市は2017年度、平和や観光団体などでつくる組織を設け、内容を詰める。被爆72年のことし8月6日までに運用開始を目指すとみられ17年度予算案に事業費が計上される見通しだ。

 15年に広島市を訪れた外国人観光客は過去最多の約103万人。16年のオバマ米大統領(当時)の訪問を追い風に、さらなる増加が見込まれる。市はピースツーリズム推進で被爆の実態を伝えるとともに、滞在時間の延長による観光消費の拡大を狙う。2月に改訂する地方版総合戦略に「『迎える平和』の推進」を明記し、観光ルート設定事業を盛り込む構えでいる。(渡辺裕明)

(2017年1月24日朝刊掲載)

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