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オスプレイ 岩国搬入に抗議 知事と市長 防衛・外相に

 米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが、安全性の確認前に米海兵隊岩国基地(岩国市)に強行搬入されたとして、山口県の二井関成知事と岩国市の福田良彦市長が25日、防衛省と外務省を訪れ、森本敏防衛相、玄葉光一郎外相に厳重抗議した。長期の駐機に反対し、安全性を確認できない場合の米国への撤去など5項目を要請した。

 二井知事は森本氏との面会で、搬入中止を再三求めた経緯を挙げ「大変心外だ。こういうことが続くと安全保障体制に大きな影響が出る」と表明。政府の責任で安全性を確認し、地元自治体などが納得できる説明を▽確認前に飛行しない約束の徹底を―などと要請した。

 福田市長も「地元の切実な思いが届かずに強行され、やるせない思いでいっぱいだ」と述べた。

 これに対し森本氏は「大変な迷惑、心配をかけ非常に申し訳ない」と陳謝。政府として安全性を確かめた後に自ら県、市を訪れて説明する意向を示した。また、「米国も相当事態を深刻に考えており、きちんとした情報提供を約束している」と述べた。

 非公開の意見交換では二井知事が、岩国基地への駐機が長引いた場合、空母艦載機移転など在日米軍再編への協力関係を見直す可能性も示唆したという。

 知事らの抗議に対し、玄葉氏も陳謝し「安全性への懸念が広がり、深刻に受け止めている」などと述べた。いずれの面会にも県議会の柳居俊学議長、市議会の貴船斉副議長が同行した。(岡田浩平、武河隆司)

山口県・岩国市と共闘 県選出の与野党議員

 米海兵隊岩国基地(岩国市)へのオスプレイ搬入で、山口県、岩国市が政府に抗議した25日、県選出の与野党国会議員は共闘の構えをみせた。安全保障政策への協力姿勢の見直しも掲げ、反発を強める県、市に、政府内からは「冷却期間」を設けては、との声も漏れる。

 東京・市谷の防衛省大臣室。抗議は約30分間に及んだ。終始厳しい表情の二井関成知事に対し、森本敏防衛相は政府独自にオスプレイの安全性を確認する考えを説明し、ひたすら理解を求めた。

 知事らは県選出の国会議員にも協力を要請。民主党の平岡秀夫氏(山口2区)は「地元の声をしっかり政府に届けたい」。外相、防衛相を務めた自民党の高村正彦氏(同1区)も「地元の反対を押し切って搬入し、安全性への理解に支障が出る」と政府を批判した。

 空母艦載機の岩国基地への移転をはじめ安全保障政策に協力的だった県、市の反発ぶりに政府関係者は「一定の緊張感はある」と認める。森本氏も、玄葉光一郎外相も「要請内容は受け止める」との姿勢だ。

 ただ、配備されたとしても米軍普天間飛行場(沖縄県)と違い、岩国基地の場合は常駐するわけでない。12月には基地での民間空港も再開する。こうした点を見越し、ある防衛省幹部は「冷却期間が必要だ。反発が収まるのを見極めたい」と冷静に受け止めた。(岡田浩平、武河隆司)

点検で回転翼回す 岩国で少なくとも5機

 米海兵隊は25日、岩国市の岩国基地に搬入したオスプレイの回転翼を本格的に回す作業を始めた。米政府が事前告知していたエンジン始動をしたとみられる。

 12機が置かれた基地西側の駐機場は、朝から軍関係者が機体の移動や点検準備に入り、午前11時すぎに最初の1機が回転翼を動かし始めた。空気を切り裂くようなごう音が響き、少なくとも5機が同日夕までにそれぞれ20~30分程度、回転翼を回した。

 岩国基地はオスプレイの整備状況やその内容について公表していないが、明日以降も同様の作業が続けられる見通し。(大村隆)

(2012年7月26日朝刊掲載)

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