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飯舘村の記憶刻む「モノ」 福島第1原発事故で全村避難 広島で今月 相次ぎ展覧会

 2011年の東京電力福島第1原発事故で、全村避難を強いられた福島県飯舘村。その記憶を刻む「モノ」を見つめ、耳を澄ませることで思いをはせる二つの展覧会が、広島市内で相次ぎ開かれる。

 14~26日、中区橋本町のギャラリー交差611で開かれるのは「いいたてミュージアム」。古里を離れて暮らす村民が大切にしている物や思い出の品を通して、飯舘の出来事を広く知ってもらおうと福島県内外の支援者でつくる「いいたてまでいの会」(事務局・福島市)が主催する。「までい」とは、「丁寧」といった意味の方言。2013年から全国巡回している。

 展示は、放射線量測定の対象とされた樹木の木片や、自宅や周辺の線量をつぶさに記録し続けた手書きのメモ、「どぶろく特区」に申請した濁り酒など、奪われた暮らしや文化を映す36点。それぞれにまつわるエピソードや持ち主の言葉も添える。

 開幕前日の13日午後4時からは、会場で勉強会「広島・福島とミュージアムの力」も開く。福島県立博物館館長で学習院大教授の赤坂憲雄さん、東京大教授の木下直之さん、広島市中区で「ギャラリーG」を運営する木村成代さん、会場のギャラリー代表で写真家の石河真理さんが、ミュージアムの役割などについて語り合う。

 もう一つは、18~26日に中区の旧日本銀行広島支店で開かれる「岡部昌生展 被爆樹から被曝樹へ」。企画はギャラリーG。壁面や樹木の凹凸を擦り取って、そこに刻まれた記憶を作品化している北海道の美術家岡部さんが、広島と飯舘で取り組んだフロッタージュ約40点を紹介する。

 26日午後3時からは会場で、岡部さんと、写真家で多摩美術大教授の港千尋さん、東広島市の美術家石丸勝三さんによるトークがある。同6時からは「いいたてミュージアム」会場で、港さんがギャラリートークをする。

 までいの会事務局Tel070(5622)4982。ギャラリーGTel082(211)3260。(森田裕美)

(2017年2月10日朝刊掲載)

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