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在外被爆者健康手帳 第1号交付の女性確認

 市民団体「台湾の被爆者を支援する会」などは26日、在外被爆者として初めて広島市から被爆者健康手帳を交付されたのは台湾出身の荘司富子さん(86)=米オハイオ州=と確認したと発表した。荘司さんは国外居住を理由に健康管理手当の支給が途絶えた時期があり、国に慰謝料を求める集団訴訟への参加を検討するという。

 同会と被爆者集団訴訟の弁護団のメンバーが今月中旬、荘司さんを訪ね、1963年10月10日に交付された手帳を確認した。荘司さんは「市に外国人第1号だと説明された」と話したという。

 台湾生まれの荘司さんは、姉雅子さん(広島大名誉教授、98年に88歳で死去)を頼り、42年に来日。19歳の時、女子挺身(ていしん)隊として働いていた皆実町(現南区)の専売局で被爆した。

 47年に台湾へ戻ったが、貧血などの治療のため63年9月に再来日。手帳交付を市に申請した。85年に日本国籍を取得した。

 今春、長女と暮らす米国で集団訴訟について知り、同会へ連絡したという。

 市は96年発行の原爆被爆者援護行政史で、「63年に観光ビザで訪れた台湾人に手帳を交付した」と明記。本人の了解が取れないとして消息を明らかにしていなかった。(田中美千子)

(2012年7月27日朝刊掲載)

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