社説・コラム

天風録 「南スーダンと少年兵」

 児童文学作家の那須正幹さんの短編連作「少年たちの戦場」を読んで、考えさせられた。戊辰戦争から沖縄戦まで。殺し殺された戦場で、大人に交じって武器を取った子どもたちの物語が四つ▲舞台の一つ、福島県二本松市を訪れたことがある。149年前、新政府軍との戦いで12~17歳の「少年隊」の14人が命を落とす。敵陣に勇んで向かう子どもたちの傍らに母。そんな姿をかたどる城跡の像に胸が痛んだ▲日本人にはもう歴史上の出来事か。だが子どもたちが「殺す」方に回る国は今も存在する。一つが南スーダンだ。政府も反政府側も多数の少年兵を徴用しているという。「大虐殺」を懸念する国連の声明を聞くと、彼らがどう関わるかも心配になる▲かの国の内戦を巡って国会が白熱している。「戦闘」でも「衝突」と書けといわんばかりの政府の姿勢に首をひねる。それで現地の真実が見えるのか。「虐殺」なら何と言い換えるのか▲実感を持って歴史を学び、未来を考えて―。那須さんの願いだ。折しも平和構築を学ぼうと南スーダン一行が広島入りした。自衛隊派遣ありきの空論でなく、子どもの明日のため何ができるか。偽らざる実情を直視して考えたい。

(2017年2月15日朝刊掲載)
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