社説・コラム

『記者縦横』 公園一帯 将来像描こう

■報道部・和多正憲

 広島市中区の平和記念公園北側にある広島グリーンアリーナ。公園を設計した故丹下健三氏が原爆資料館、原爆慰霊碑、そして原爆ドームを配した南北の軸線上に位置する。アリーナの建築主である広島県は一帯の景観を意識し、屋根の中央部を南北軸に沿ったV字形にしている。

 そのアリーナを含むドーム北側の一帯で建物の高さを法規制するかどうか、市が新年度に検討を始める。

 今、慰霊碑に向き合うと、視界の先にあるドームの後景に黒い広島商工会議所ビルが入り込む。丹下氏の構想を踏まえても、「物言わぬ証人」の背後に建物がない方がいいのは確か。北側一帯は公有地が多く、商議所がビル移転を検討するこの機に、将来を見越して法規制するのには市民の理解も得られると思う。

 ただ、ドームの東西方向となると話は異なる。民有地であり高層建物が立ち並ぶ。市は10年ほど前にも、公園を囲む東西南北の地帯で建物の高さの法規制を検討したが、土地利用が制約されるため地権者たちの反対で断念。緩やかな高さ基準にとどめた経緯がある。

 昨年5月にオバマ米大統領(当時)が平和記念公園を訪れ、国内外からの旅行者は増え、ドームを含む平和記念公園の注目が高まったのは間違いない。同時に都心の一等地でもあり続ける。平和、にぎわい、暮らし…。ドーム北側の眺めの問題にとどめず、市は公園と周辺の将来像について、市民と再び話し合うべき時ではないか。

(2017年2月17日朝刊掲載)
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