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被爆2世 初集団提訴 広島地裁 国に援護措置求める

 広島への原爆投下で親が被爆した広島や山口など5県の被爆2世22人が17日、国が2世への援護措置を怠っているのは、幸福追求権を保障した憲法に反するとして、1人当たり10万円の慰謝料を求める訴訟を広島地裁に起こした。被爆2世への遺伝的な影響の有無などが争点になるとみられる。被爆2世の集団訴訟は初めて。20日には長崎の被爆2世25人が長崎地裁に提訴する。

 全国の2世たちは被爆者援護法が施行された1995年以降も、同法を2世に適用することなどを国や国会議員に働き掛けた。国は被爆の遺伝的な影響を認めておらず、年1回の健康診断を除き援護措置はない。

 訴状によると、日本遺伝学会などの見解や各種の研究で、発がんリスクの増加を含む遺伝的影響の可能性が指摘されていたのに、国は被爆者援護法を2世に適用せず、他の援護措置も怠ったと指摘。「放射線被害の遺伝的な影響でいつ疾病を発症するか分からず、不安な生活を送ってきた」として、慰謝料の支払いを求めている。

 全国被爆二世団体連絡協議会(二世協)は、年を重ねて健康不安が増す中、2016年2月の総会で集団提訴を決めた。原告の一人で二世協の寺中正樹副会長(55)=山口市=は「健康不安の責任は国にある。2世で問題を広く共有したい」と話している。

 厚生労働省は「訴状が届いていないので現時点でのコメントは差し控えたい」としている。(有岡英俊)

(2017年2月18日朝刊掲載)

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