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ヒロシマ 憤りや失望 米核戦力拡大意欲 「責任ある発言を」

 「やっぱりか」。トランプ米大統領が核戦力を拡大する意欲を示したのを受け、広島の被爆者たちは24日、憤りや失望をあらわにした。就任前の昨年12月にはツイッターで同様の「暴言」をしていた。核超大国が、「核兵器なき世界」実現への一段と厚い壁となる現実味が強まった。

 「国際社会の流れは核兵器廃絶だ。超大国のトップとして世界の平和へ、もっと責任ある発言をしてもらいたい」。来月に「核兵器禁止条約」の制定交渉が米ニューヨークで始まろうという時だけに、広島県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之副理事長(74)の嘆きは深い。

 トランプ氏はオバマ前政権時にロシアと合意した新戦略兵器削減条約(新START)の見直しも示唆。「オバマさんの成果を消すだけでなく、米ロの軍拡競争をエスカレートさせないか」と不安を募らせる。

 もう一つの県被団協(佐久間邦彦理事長)の大越和郎事務局長(76)は「また好き放題の発言か」とあきれ顔。日本政府へ矛先を向け、「日米首脳会談で『核の傘』の確約を得た一方、核軍縮をひっくり返そうとするトランプ氏を特に問題視しているようにも見えない。廃絶への立ち位置が問われる」と批判した。

 広島市立大広島平和研究所の水本和実副所長(核軍縮)は「まだ核政策の全体像は見えないが、少なくとも米国が率先して核軍縮を進めるのは望みにくいだろう」と指摘。「共和党政権は軍事産業とのつながりが強い傾向があるだけに、それも後押しとなり核兵器の増強へ実際にかじを切りかねない」とみている。(水川恭輔)

(2017年2月25日朝刊掲載)

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