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合唱 被爆者作詞 新曲を初演 「レクイエム・プロジェクト」来月5日広島公演

 戦争や自然災害の犠牲者追悼と平和への願いを合唱に込める「レクイエム・プロジェクト」の広島公演が3月5日、広島市中区の広島県民文化センターである。今回、被爆者の詩人上田由美子さん(79)=安佐北区=が作詞し、プロジェクトを主宰する作曲家上田益(すすむ)さん(60)=東京=が曲を付けた「生きとし生けるものへ」を初演。広島や長崎の市民約100人が平和や命の尊さを歌う。

 同プロジェクトは2008年、「神戸ルミナリエ」の音楽を担当する益さんが発案し、阪神大震災の被災地神戸で始まった。以後、広島や長崎、仙台など10カ所に活動を展開し、被災地の詩人と益さんが書き下ろした作品を市民が合唱している。

 新曲は「広島や長崎という地域を越え、共に歌える曲がほしい」とのメンバーの要望を受け、益さんが創作を決意。7歳の時、広島で入市被爆した由美子さんに作詞を依頼した。

 全4曲からなる混声合唱組曲で、広島公演では前半の「野辺」「コスモスと少年」を披露。野に咲く花々が等しく自然の恩恵を受ける様子や、戦場に消えた少年の姿を描く。後半の2曲は8月6日の長崎公演で初演し、曲が完成する。

 「命の大切さや人間愛を表現した」と由美子さん。益さんは「心の奥底に迫る歌。それぞれの会場で、その地の苦難や歴史に思いをはせるきっかけになれば」と話す。  午後2時開演。1500円(前売り千円)。高校生以下無料。Tel080(5181)6692。(余村泰樹)

(2017年2月25日朝刊掲載)

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