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戦地からの絵手紙で学習 三次の川地小 差出人の孫「平和考えて」

 太平洋戦争中に戦地から家族に送られた絵手紙を通して、平和について考える学習会が26日、三次市下川立町の川地小であった。差出人の孫の会社員伊藤博文さん(48)=福岡市早良区=が講師を務め、全校児童92人や保護者たち計170人が参加した。(城戸良彰)

 差出人の伊藤半次さんは1941年に召集され、旧満州(中国東北部)で重砲兵部隊に所属。日本画の心得があったため、戦地から絵手紙など計400通を家族に送り続けた。

 学習会で博文さんは約20枚の絵手紙をスライドで紹介。歯の治療を受けるなどの戦地での近況がほのぼのとした筆遣いで描かれている。「飯ごうの飯も元気いっぱい平らげて元気旺盛だから」など、家族を安心させようとした文言も目立つ。

 博文さんは「祖父は戦地で、家族と暮らす平穏な日々を夢見ていたけどかなわなかった。平和な世の中が続くにはどうすればいいか考えて」と訴えた。

 半次さんは44年秋に沖縄に転戦。45年6月に32歳で戦死したとされる。戦況の悪化を受け沖縄に移った後の手紙は3通で、最後の手紙には「この次は何の絵を送りましょうかね。待っていてちょうだい」と書かれていた。

 博文さんは九州、沖縄で絵手紙を通じた平和活動を続けている。今回は同小PTAの招きで初めて県内で紹介した。6年佐々木汐莉さん(12)は「優しい絵で家族への愛情がこもっている。悲惨な戦争は世界からなくなってほしい」と話した。

(2017年2月27日朝刊掲載)

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