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社説・コラム

天風録 「爆風消化」

 油田火災のような、手が付けられない大火事を消す一策に「爆風消火」がある。爆薬の風圧で、一気に火を吹き飛ばす。度肝を抜く荒業である。それまでどんな事態だったか、衝撃で記憶まで吹っ飛んでしまいそうだ▲あれも、その伝だったのだろうか。大阪の学校法人「森友学園」問題で理事長の記者会見中、爆風さながらにニュースが飛び込んだ。国連のPKO活動で南スーダンに送っている陸上自衛隊の撤収を政府が突然決めた▲寄付金集めで「安倍晋三記念小学校」と触れ回り、首相夫人も巻き込んだ学園は、疑惑が相次ぎ、火だるま同然。「森友隠し」で陸自撤収をぶつけたのでは―。そんな臆測さえ呼ぶほど、発表のタイミングは唐突感が否めず、その理由も釈然としない▲かの地の自衛隊員たちを取り巻く危険を思えば、もっと早い判断があってしかるべきだった。この時とばかり、首相が「最高指揮官として」とカメラを前に見えを切っていたのはどうか▲何年か前、「いい夫婦の日」(11月22日)で首相はフェイスブックに持論を開陳していた。「家庭の幸福は、妻への降伏」。議論を巻き起こした騒動やPKO活動からは、どんな教訓を得たのだろう。

(2017年3月12日朝刊掲載)

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