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佐古美智子さん死去 原爆の歌作詞 渡米治療 85歳

 原爆による心身の傷を歌った「ほほえみよ還れ」の作詞者で1955年の渡米治療に応じた、佐古美智子(さこ・みちこ)さんが23日午後0時54分、大動脈解離のため廿日市市のJA広島総合病院で死去した。85歳。廿日市市出身。告別式は25日午前11時から廿日市市沖塩屋2の1の17、セレモニー西日本大野会館で。喪主は長男宏文(ひろふみ)氏。

 45年8月6日、学徒動員された建物疎開作業先の広島市鶴見町(現中区)で被爆。ケロイドに苦しむ女性たちの思いを53年に作詞(小林美千雄作曲)し、平和記念式典で高校生たちが披露。この年に広島を訪れたエレノア・ルーズベルト元大統領夫人と対面した。

 自らの傷をさらして声を上げたことから、日米の市民が協力して55年に実現させた独身女性25人の渡米治療は、57年の原爆医療法(現被爆者援護法)制定を促した。78年、後に駐日米大使となるキャロライン・ケネディさんたちの広島訪問で面談にも応じた。その後は表立った証言を避けたが、ヒロシマの願いを趣味のキルトに託して縫い展示していた。

(2017年3月24日朝刊掲載)

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