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鋼材 被爆直後の色へ 広島の原爆ドーム 屋根や階段 焦げ茶

 広島市は24日、劣化が進む世界遺産の原爆ドーム(中区)を補修する工法案を専門家らの委員会に諮った。象徴的なドーム部分や、らせん階段などの変色した鋼材を被爆直後の色に塗り直す方向で意見がまとまった。

 中区での委員会には委員13人のうち11人が出席。市は鋼材の色を巡り、1945年10~11月ごろに米軍が撮影したドームの写真を分析、推定し、焦げ茶色を提案し、異論はなかった。

 前回、塗料が塗られたのは89年の第2回の保存工事。委員会後、広島大大学院の三浦正幸教授(日本建築史)は記者団に「経年劣化で、鋼材がピンクのようになっている。被爆直後に近づけることで当時の悲惨さが、伝わりやすくなる」と話した。

 また委員会では、市は2014年度に実施した健全度調査を踏まえ、鋼材や、れんがの目地、窓、出入り口部などの補修工法案も示した。鋼材のさびも固めて保存するという案については、委員からは「さびは全部取り除くべきだ」などと意見が出た。

 市は18年度に補修工事をする予定。工法案を練り直し、次回の委員会で提案する。(渡辺裕明)

(2017年3月25日朝刊掲載)

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