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被爆者 障害や介助必要28% 在宅70歳以上 厚労省調査 一般より11ポイント高く

 厚生労働省は24日、2015年度に実施した被爆者実態調査の結果を公表した。自宅で暮らす70歳以上の被爆者の3割弱は障害があったり、介助を必要としたりし、同年代のお年寄りよりその割合が約11ポイント高かった。日本被団協の田中熙巳(てるみ)事務局長は「一般の人より被爆者の健康状態の方が悪いのは確か。切迫感を持って施策につなげてほしい」としている。

 調査は1965年度から10年ごとに実施し6回目。被爆者健康手帳を持つ人の約30%に当たる約5万3千人を無作為に選んで調査票を郵送。3万8653人から回答を得た。平均年齢は80・1歳で、05年度の前回より6・6歳上がった。回答者の6割が広島で被爆した人だった。

 調査当時に70歳以上の在宅被爆者の28・9%が、何らかの障害があったり、介助なしには日常生活や外出ができなかったりすると答えた。13年の国民生活基礎調査の同じ問いに対する70歳以上の回答(18・0%)を上回った。

 項目別では、自立度が高い順に、「何らかの障害を有するが日常生活はほぼ自立している」10・3%▽「介助なしに外出できない」11・9%▽「屋内での生活は何らかの介助を要する」4・8%▽「一日中ベッド上で過ごす」1・9%。田中事務局長は、「次回調査では被爆2世の健康状態の把握にも努めてほしい」とも求めた。

 70歳未満を含めた自宅生活者でも、29・7%が日常生活で手助けや見守りが必要だと回答している。

 韓国、米国、ブラジルなど海外に住む約2800人にも類似の調査を実施。在外被爆者の45・8%が日常生活で手助けや見守りが必要と答え、国内の被爆者より割合が高かった。(田中美千子、野崎建一郎)

(2017年3月25日朝刊掲載)

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