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核禁止交渉 不参加 与野党とも厳しい声 「間違ったメッセージに」「被爆者代弁すべきだ」 

 日本政府が28日に表明した「核兵器禁止条約」制定に向けた交渉会議への不参加。この決定に対し、被爆地・広島を地盤とする国会議員からは、与野党を問わず失望や批判が相次いだ。

 「核廃絶に前向きではないという間違ったメッセージになりかねない。少なくとも中に入って議論すべきだった」。自民党の寺田稔氏(広島5区)は残念がる。政府は、核兵器保有国と非保有国の溝が広がりかねないことを理由の一つとするが、「日本が核保有国と調整し、修正する方法もあった」とみる。

 自民党と連立政権を組む公明党の斉藤鉄夫氏(比例中国)も「参加するよう要望していたのに」と落胆する。核拡散防止条約(NPT)などに関わり、核廃絶に取り組んでいるとする政府の説明にも「NPT体制の維持に努力していることは分かるが、今回の交渉会議に参加してもいいはずだ」と指摘する。

 不参加の要因として、政府は北朝鮮による核開発の加速など安全保障環境の厳しさもあるとする。これに対し、民進党の森本真治氏(参院広島)は「米国の『核の傘』に依存しない安全保障は成り立つと考える。交渉会議に参加しても何の問題もないはずだ」と強調。今後も参加を政府に働き掛ける考えでいる。

 参加は多くの被爆者も望んでいた。共産党の大平喜信氏(比例中国)は「被爆地を抱える国の政府として、被爆者の声を代弁すべきだった」と批判。その上で、「核兵器国と非核兵器国の橋渡しをすると言いながら、核兵器国に付き従うのは、被爆地への裏切り以外のなにものでもない」と憤った。(野崎建一郎、清水大慈)

(2017年3月29日朝刊掲載)

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