×

ニュース

日本交渉不参加「見捨てられた」 核禁止条約 サーローさん非難

 広島市南区出身の被爆者、サーロー節子さん(85)=カナダ・トロント市=が28日、「核兵器禁止条約」の制定交渉会議でスピーチした。「この条約は世界を変えられる」と期待感を表明。交渉に参加しない日本政府を「被爆者は自分の国に裏切られ、見捨てられているとの思いが強まった」と厳しく非難した。 (ニューヨーク発 水川恭輔)

 英語で被爆体験を伝え続けているサーローさんは、非政府組織(NGO)の発言枠で演説。原爆に容赦なく焼かれた当時4歳のおいの死を語り、広島、長崎の犠牲者を思って条約作りを前進させるよう各国政府の代表へ呼び掛けた。

 核保有国や、その抑止力に頼る国々については「間違った考えにしがみついている」と指摘。日本政府の外交姿勢を「各国の要人を広島に招き核軍縮を主導するというが、米国の『核の傘』の下にいる限り空虚でごまかしだ」と批判した。会場からは大きな拍手が湧き起こった。

 演説終了後、記者団に「被爆国で、外相は広島選出なのに核兵器廃絶のリーダーシップを取れないまま。悲しさ、怒りを越えて情けない」と述べた。

 この日から空席となった日本の机上には「wish you were here(あなたがここにいてくれたら)」と書かれた大ぶりの折り鶴が置かれていた。サーローさんに発言を依頼したNGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)メンバーが日本の参加を願って置いたという。

(2017年3月30日朝刊掲載)

年別アーカイブ