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被爆前の広島城飾りか 広島大総合博物館所蔵の「懸魚」

 原爆で壊滅した広島城内(広島市中区)の建築物の屋根に付いていたと伝わる木製の飾り「懸魚(げぎょ)」二つを、広島大総合博物館(東広島市)が所蔵していることが20日、分かった。壊滅前の城に使われていた部材の大半は現存しないとされ、専門家は「城のものであれば、貴重な資料だ」と話している。

 懸魚はいずれも縦約30センチ、横約40センチ、高さ3・5センチ。広島市南区の男性(故人)が、原爆投下後に広島城などから被爆瓦数点と合わせて持ち帰ったと伝わる。2015年に遺族が同館に寄贈した。

 同館学芸職員の佐藤大規さん(38)によると、風雨にさらされた表面の削れ具合から江戸期の部材とみられる。天守閣の懸魚よりサイズが小さいことから、やぐらや門の懸魚の可能性があるという。

 原爆で城内の建築物の大半は焼失。倒壊した天守閣の部材の一部は、仮設住宅や暖を取るためのまきに使われたという。天守閣のものと伝わる部材のうち2点は、現広島城で保管されている。佐藤さんは「これ以上は調べようがない。今後さらに部材が見つかれば、比較検討できる」と話している。(森岡恭子)

(2017年4月21日朝刊掲載)

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