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米軍機騒音 100デシベル超初計測 廿日市市16年度 70デシベル以上は減少

 廿日市市は、米軍機による低空飛行訓練の実態を把握するため廿日市、佐伯、吉和の3地域に設置している騒音測定器の2016年度の測定結果をまとめた。電話のベルに相当する70デシベル以上の測定数が減少に転じた一方で、100デシベルを超える騒音を初めて計測した。市は「発生回数が減っても、市民の不安軽減につながっていない」と注視を続ける。(長部剛)

 測定器は13年6月に吉和市民センター、14年4月に阿品台市民センターと佐伯支所に設置。70デシベル以上の航空機騒音を測っている。

 市総務課によると16年度は、西中国山地の米軍の訓練空域、エリア567にかかる吉和では113日、277回計測。前年度より38日、72回減ったものの、17年1月18日正午すぎ、電車が通る時のガード下に相当する101・8デシベルを2度にわたり記録した。これまでの最高値だった13年6月の99・5デシベルを上回り、市民から「低空飛行するのを見た」「爆音が聞こえた」などの情報が寄せられた。

 16年度の70デシベル以上の計測は阿品台で121日、203回、佐伯は97日、141回。3カ所での計測態勢が整った14年度以降で最少となった。最大の騒音は阿品台が90・0デシベル、佐伯は86・0デシベルだった。

 米海兵隊岩国基地(岩国市)に空母艦載機61機が7月以降に移転する計画に絡み、国が1月に示した騒音予測図では、うるささ指数(W値)が70になる区域に宮島の西端がかかっている。廿日市市は「艦載機移転により、市民生活への影響が増す懸念がある」と指摘。生活環境が悪化しないよう、低空飛行訓練の中止を日米両政府などに求めていく。

 同市の市民団体「岩国基地の拡張・強化に反対する県西部住民の会」の坂本千尋事務局長(64)は「宮島の観光に悪影響が出ないよう対応してほしい」と話している。

<廿日市市での航空機騒音の測定結果(70デシベル以上)>

       測定日数(日) 発生回数(回) 最大値(デシベル)
吉 13年度 102     245     99.5
和 14   114     273     91.4
市 15   151     349     96.4
民 16   113     277     101.8





阿 14   148     248     86.0
品 15   135     248     86.8
台 16   121     203     90.0







佐 14   107     185     86.9
伯 15   115     191     87.6
支 16    97     141     86.0


※2013年度の測定は吉和市民センターのみで6月開始

うるささ指数(W値)
 航空機騒音が生活に与える影響を評価する国際基準。飛行回数や時間帯を加味して平均値を求める。国は環境基準で、住宅専用地域では70以下と定めている。70は、地下鉄の車内の音に相当する80デシベルの騒音が日中に1日50回あった時のうるささに相当する。

岩国基地備品 地元調達へ 米軍方針転換 事業者向けに説明会

 岩国市の岩国商工会議所と米海兵隊岩国基地は20日、基地の備品や業務の発注方法についての説明会を今津町の同商議所で開いた。米軍の地元調達は約10年間途切れていたが、今回、米軍側が方針を転換した。

 説明会には、運送や造園など幅広い業種から約40人が参加。同基地補給部の担当者は「基地の拡張でさまざまなビジネスチャンスが生まれる」とし、地元との取引を広げる方針を説明。通信機器や建設資材のほか、清掃や引っ越し作業など多様な物品やサービス業務などが対象となる可能性を示した。

 発注内容は同基地のウェブサイトなどで公示するか、複数の業者に直接見積もりを依頼するという。発注開始は未定としている。

 基地人口が1万人を超すとみられる空母艦載機の移転後を念頭に、同商議所は「基地は一つのマーケット。基地と連携し、制度の周知を進めたい」としている。(藤田智)

(2017年4月21日朝刊掲載)

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