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水道資料館 リニューアル 原爆に耐えた「不断水」の歴史伝える あす広島市東区 平和考える展示拡充

 原爆に耐え、市民に水を届けた「不断水」の歴史を伝える広島市水道資料館(東区牛田新町1丁目)が26日、約3年ぶりに再開館する。耐震改修し、老朽化した展示を全面リニューアル。国が昨年度始めた被爆建物の保存支援の第1号で、原爆と水道、平和を考えるコーナーを充実させた。(渡辺裕明)

 資料館は牛田浄水場内にあり、れんが造り一部鉄筋2階建ての延べ225平方メートル。2階に、原爆投下後も広島のまちに命の水を送り続けた事実を記録する1945年8月6日の運転日誌やパネルなどを展示。新設した32インチの画面では、被爆しながらポンプの応急修理に当たった水道部(現水道局)技手の実話などを描いたデジタル漫画を読める。

 被爆直後の様子を表現した被爆者の絵のパネルも新たに掲示。悲惨な状況下で壊れた水道から噴き出る水を手ですくって飲んだエピソードを伝える。明治時代の鋳鉄製の水道管など歴史資料も並ぶ。

 1階は太田川の恵みや災害への備えなどを紹介するコーナー。床には広島の街を写した航空写真を配す。中央の吹き抜けには水の流れをイメージしたオブジェを設けた。館内ではスタンプラリーやクイズなども楽しめる。

 資料館は24年に送水ポンプ室として建築された。原爆の爆心地から約2・8キロにあり、爆風で窓枠などに被害を受けた。

 改修して85年に資料館として開館。2014年3月の休館前は年間約6400人が訪れていた。耐震工事や展示の全面更新の事業費は1億1300万円。うち1750万円は国からの被爆建物の保存支援補助金を充てた。

 市水道局企画総務課は「小学生はもちろん、大人も学んでもらえれば」としている。入館無料。3~11月の水、金、土、日曜と祝休日などの午前9時~午後5時に開館。今月26日は午前10時半から開館式があり、午後1時から一般開放する。同課Tel082(511)6808。

(2017年4月25日朝刊掲載)

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