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最先端映像 感覚を重視 原爆資料館東館の新展示 核の国際情勢も更新 広島

 26日に一般公開される原爆資料館(広島市中区)東館の新展示。1994年の開館以来初の全面リニューアルで、最先端の映像技術を駆使。原爆に関連する知識を再整理し、「どう伝えるか」にこだわった。(野田華奈子、水川恭輔)

 東館から入って本館から出ていた従来の順路が変わり、東館が出入り口に。新設のエスカレーターで3階まで一気に上ると、被爆前後の街並みを見せる「導入展示」がある。

■多彩な手法

 直径5メートルの市街地模型に原爆投下時のCG映像を投影する「ホワイトパノラマ」を取り囲むように、焦土と化した市街地の写真が掲げられている。廃虚に立っているような感覚を重視し、あえて解説文を省いた。

 「広島の歩み」(2階)と「核兵器の危険性」(3階)のパネル展示は項目を小分けにして読みやすさに努めた。詳しく知りたい場合は両階に置く情報端末「メディアテーブル」で検索。タッチ操作で解説や画像などの情報を呼び出せる。

 3Dプリンターを使うなどして作った、原爆ドーム(中区)と被爆前の県産業奨励館の100分の1の模型は、手で触って原爆の威力を感じてもらおうという試みだ。被爆した瓦や高熱で変形したガラス瓶も、被爆していない現物と比べることができる。

■核関連動向

 「核兵器の危険性」のパネル展示では、核兵器廃絶に向けた国際社会の動向を更新した。オバマ政権時の米ロの新戦略兵器削減条約(新START)調印(2010年)など国際情勢を解説。多くの被爆者たちが各国に締結を求める「核兵器禁止条約」も単独のパネルで紹介している。

 一部は、最新状況を反映したパネルに取り換えられる仕掛けにしている。当面は、昨年の北朝鮮による2度の核実験などを解説している。1年ごとに更新する方針だ。

(2017年4月26日朝刊掲載)

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