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被爆体験朗読会が好評 広島の平和祈念館、15・16年度とも200回超す 

修学旅行生や外国人ら対象 ボランティア追加募集

 国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市中区)による被爆体験記朗読会の開催が増えている。修学旅行生や外国人ツアー客のニーズが高まり、2005年の開始以来初めて15年度に200回を超え、16年度も上回った。同館は朗読ボランティアを追加募集し、被爆の惨禍を語り継ぐ。(伊藤友一)

 今月上旬、祈念館近くの原爆資料館東館地下1階。東京から修学旅行で訪れた高校3年約130人を前に、ボランティアの坪井寿子さん(75)たち3人が、惨状を表現した詩や体験記を情感込めて読み上げた。生徒たちはしみじみと聞き、一部を実際に読んだ。「朗読を通じて少しでも当時の状況が伝われば」と坪井さんは願う。

 祈念館は被爆体験記13万5896編(3月末時点)を収蔵。これらを生かそうと、ヒロシマを語るアナウンサーたちの「ひろしま音読の会」の活動に触発され、05年3月に朗読会を始めた。

 館内で月3回の定期朗読会を開くほか、修学旅行やツアーの依頼に応じる。開催は05年度は94回だったが、被爆70年の15年度は224回で最多に。16年度も205回を数えた。

 祈念館は、市などとともに政令指定都市を中心に各地で開く学校や旅行業者向けのセミナーで、朗読会をPRしてきたのが増加の要因とみる。修学旅行シーズンには会場の調整に苦労するという。

 一方、朗読ボランティアは41~85歳の77人。開始当初、音読の会と公募者で約100人いたが高齢化で減った。増える開催依頼に対応し、英文朗読も増やせるよう、10人程度を初めて追加募集することにした。

 18歳以上で、アナウンサーや演劇などの経験者を求め、今月31日(必着)まで応募を受け付ける。書類と実技で選び、10月から活動してもらう。祈念館は「心から平和を愛する人が来てくれれば」と話す。同館Tel082(543)6271。

(2017年5月13日朝刊掲載)

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