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岩国市長が辺野古視察 名護市長と会談「有意義」

 米海兵隊岩国基地(岩国市)への空母艦載機移転計画に絡み、移転是非の判断材料にするため14日から3日間の日程で沖縄県を訪問している岩国市の福田良彦市長は15日、政府が米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先とする名護市辺野古沿岸部を視察した。

 福田市長は辺野古の米軍キャンプ・シュワブで、基地司令官のケビン・ノートン大佐と面会。続いて埋め立て現場に向かい、沖縄防衛局から工事状況の説明を受けた。視察後、報道陣に対し、艦載機受け入れの前提条件である普天間移設の見通しが立ったかについては「適切な時期に判断したい」と述べるにとどめた。

 視察に先立ち、名護市役所で稲嶺進市長と会談。冒頭を除いて非公開で、米軍側との交流事業などを話し合ったという。会談後、福田市長は「幼少期からの英語教育の説明があり、非常に有意義だった」とした。

 この日は沖縄防衛局も訪れ、県内の基地の現状や課題について中嶋浩一郎局長と意見交換した。16日は宜野湾市の佐喜真淳市長と会談する。(松本恭治)

名護市長は意義に疑問  「普天間 話題にならず」

 名護市の稲嶺進市長は15日、岩国市の福田良彦市長との会談後に報道陣の取材に応じ、「米軍普天間飛行場の移設がほとんど話題にならず、こちらから説明する機会もほとんどなかった」と述べ、会談の意義に疑問を投げ掛けた。

 稲嶺市長は、普天間飛行場の辺野古移設に反対の立場。約30分間の会談を振り返り、「移設の進捗(しんちょく)や名護市としての対策を説明しようと思ったが、移設に触れたくなかったのか、日米交流などソフト事業の話がメインだった。どういう目的で来られたのか」と困惑の表情を浮かべた。

 その上で、普天間移設について「全く進んでいない状況だ」と自身の見解を説明。米空母艦載機移転計画を巡り、岩国市が普天間移設の見通しを受け入れの前提とする点については「なぜそうなるのか、私にはよく分からない」と述べた。

艦載機移転 国対策 29項目「不当」市民団体指摘 岩国市へ文書

 岩国市の米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転計画を巡り、市民団体「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」は15日、市が国に求めている43項目の安心安全対策の達成状況の評価について、意見をまとめた文書を市に提出した。

 市役所で、同団体の桑原清共同代表が市基地政策課の山中法光課長に手渡した。

 文書では43項目のうち、市が「達成」とした陸上空母離着陸訓練(FCLP)に絡む項目について「恒常的施設が得られなければ岩国基地で実施する可能性が高い」とするなど、29項目を「不当な回答」と指摘した。

 航空機騒音などに関する苦情や問い合わせへの国の対応など4項目は「評価できる」とし、残る10項目は「情報がないため判断できない」と主張している。

 提出後、桑原共同代表は「市は容認の是非を判断する段階にはない」と批判した。

(2017年5月16日朝刊掲載)

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