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被爆者の声受け止める 広島市平和宣言 市長が方針示す

 広島市の松井一実市長は16日、原爆の日の平和記念式典で読み上げる平和宣言について「核兵器の問題を身近に捉えられ、世の中を動かす力を与えられている為政者に伝わるようにしたい」との考えを明らかにした。国際情勢が緊迫する中、原点に立ち返って被爆者の声を聞く大切さを盛り込む。

 平和宣言の文案を検討する有識者や被爆者の懇談会後、記者団の取材に答えた。懇談会で出た意見を踏まえ、「核の爆発がいつ起こるか分からない世の中だからこそ、もう一度被爆者の声を受け止める必要がある」と述べた。市民社会と各国の指導者に対して行動理念を示し、被爆者の証言も入れるという。

 懇談会は冒頭を除いて非公開で、全10人のうち8人が出席。座長の松井市長はあいさつで「核兵器廃絶を願う市民の思いが抑えつけられ、国際政治の場ではなかなか具体化しない状況にある」と投げ掛けた。委員からは「命の大事さを伝えられないか」「為政者の情に訴える構成を」などの意見が出たという。

 懇談会は4月に続き2回目。6月中旬に骨子を、7月前半に文案をそれぞれ検討し、原爆の日までに松井市長が起草する。(野田華奈子)

(2017年5月17日朝刊掲載)

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